会社で、考え事をしながら、トイレへと向かう。
歩いて20歩程度、トイレのドアの前へやってきた。
少し横に視線をやる。
そこに、いつも俺を誘惑しているものがある。
その名も「火災報知器」。
赤々と放たれるその光は、見た者の脳を惑わす。
「押 し た い」
押すと大変な事になる、だが何故か押したい衝動にかられる。
仕事のストレスから逃げたいのかもしれい。
「・・・強く押すって書いてあるし、軽く押すだけなら大丈夫だろうか・・・」
そっと、指を近づける。
・・・が、ここで我に返る。
「ちょ・・・しっこ漏れる!」